秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
人生に悔いがないといったら嘘になるが、さっきまで聞こえていた夫婦の励ましの声も、今はもう聞こえないのだ。すべての感覚が遠ざかっていた。どんなに足掻いたところで、俺はもう助からない……。
俺を支えていた夫が体勢を変えた衝撃で、俺の体が反射的に跳ねた。カクンと顎が上がり、半分瞼が落ちた目が偶然ひとりの女性を映す。
その瞬間、真っ黒に染まっていた俺の視界に光が差した。
……っ、なんだ? 俺はいったい、どうしたんだ?
柔らかな栗色の髪に理知的な暗褐色の瞳をした女性を目にして俺の胸に湧き上がったのは、死の間際には不自然な高揚と歓喜だった。
女性の年齢は、俺よりひとつふたつ下くらい。しかし彼女はその若さとは不釣り合いに、どことなく老成した雰囲気を漂わせていた。
俺はもう自力で顔を上げていることもできない状態だったから、目が合ったのはほんの一瞬のこと。しかしその一瞬で、女性は俺の胸に鮮烈な存在感を植え付けた。
俺を支えていた夫が体勢を変えた衝撃で、俺の体が反射的に跳ねた。カクンと顎が上がり、半分瞼が落ちた目が偶然ひとりの女性を映す。
その瞬間、真っ黒に染まっていた俺の視界に光が差した。
……っ、なんだ? 俺はいったい、どうしたんだ?
柔らかな栗色の髪に理知的な暗褐色の瞳をした女性を目にして俺の胸に湧き上がったのは、死の間際には不自然な高揚と歓喜だった。
女性の年齢は、俺よりひとつふたつ下くらい。しかし彼女はその若さとは不釣り合いに、どことなく老成した雰囲気を漂わせていた。
俺はもう自力で顔を上げていることもできない状態だったから、目が合ったのはほんの一瞬のこと。しかしその一瞬で、女性は俺の胸に鮮烈な存在感を植え付けた。