秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
『お願いブローム。前にお祖父ちゃんの用事でたまたまここに入ったことがあって、その時、すごくよさそうな植物があったの。他の森や草原で必死に探したんだけど、どうしても同じのが見つからない。かと言って、正式な入場許可なんてそうそう下りない。今日、それを採取したら、自分で栽培して増やすことを考える。忍び込むのは最初で最後にするって約束する、だからどうか手伝って!』
『ぅうう、そこまで言うならわかったよ。ただし、本当に今回だけだからね』
 ……違う。
 ふたりの声が、その内容までしっかりと聞こえている! これは幻聴なんかじゃない!
『ありがとう、ブローム! それじゃあさっそくあっちから探し──』
『待って! お願い、助けて! ここから出して!』
 声の主が遠ざかっていくのを感じた俺は、咄嗟になけなしの力を振り絞り、叫んでいた。
『えっ? 今の声って……?』
 どうやら無事に俺の声が届いたらしく、ふたりが慌てふためく様子が見ずとも気配でわかった。
『ここだよ! 助けて!』
< 60 / 340 >

この作品をシェア

pagetop