秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 その後も何度となく声を張るが、洞内で自分の声が反響するばかりで、姉たちからの返事はなかった。
『誰かー! 助けて、助けてーっ!!』
 暗がりも手伝って、俺はいよいよ焦りだした。ドンドンと岩を叩き、泣きながら助けを呼んでいた。
 それからどのくらい経っただろう。声も嗄れ、疲れ切った俺は、恐怖に震えながら膝を抱えていた。その時だった。
『やっぱり帰ろうよ。勝手に入ったりして、怒られちゃうよ』
『それって要は、研究所員にバレなければいいだけの話でしょ』
『そんなぁ。それに、迷ったらどうするの』
『それなら心配いらないよ。ジジは賢い上に、とっても耳がいいの。呼べばすぐにやって来て、上空から引っぱり上げてくれる』
 ……空耳?
 微かに聞こえてくる声……それも姉様たちのそれとは違う幼い子供の声を耳にして、最初は幻聴を疑った。
『それはそうかもしれないけど、そのジジだってお祖父様に内緒で連れ出して来たんでしょう? きっとお祖父様も、心配しているよ』
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