秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
『あなたたち、もういいじゃないの。こうして無事にアズフィールが見つかったんだもの、ねぇ? さぁ、みんなで帰りましょう』
 イザベラ姉様のひと声で、メアリ姉様たちは『それもそうね』と納得した様子を見せた。
 俺は少年たちと楽しい時間を過ごした興奮から、全身の体温が少し高くなっていた。それは左手も例外ではなかったのだが、イザベラ姉様に握られた左手からスーッと体温が奪われていくような不思議な感覚がした──。

 夢の世界から、ゆっくりと意識が浮上していく。
 まず、感じたのは優しい温もり。姉と繋いで感じた不可解な冷感を払拭するように、左手のひらから発生した温もりが血脈にのって全身に巡る。心地よい熱感は最終的に腹部で留まり、ある一点を内側からじんわりと温めた。
 熱の広がりと共に曇天の空が晴れていくかのように、不明瞭だった俺の意識も段々と覚醒していった。
 ……俺はいったい、どうしたんだ?
 今の状況を知るべく目を開こうとしたが、重たい瞼はなかなか持ち上がらなかった。
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