秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「はははっ、困った子だ」
私にとって大事なのは家族。大好きな祖父母と一緒に過ごせる今の幸せを噛みしめながら、私は芽依紗と呼ばれていた前世へと思いを馳せた──。
『おはよう、芽依紗ー。起きてるか?』
父が襖の向こうから私を呼ぶ。
思春期真っただ中の中学生の私は、少し不機嫌な声でそれに答える。
『今起きた』
少し立て付けの悪くなった襖を引き開け居間に行くと、父はもう施術着に着替えていた。
『芽依紗は今日、学校のレクリエーションでハイキング登山だったよな』
『そうだけど。なに、もう店に行くの? 早くない?』
鍼灸マッサージ師の父は、築何年にもなる小さな二階建ての我が家の一階で治療院を営んでいた。
『いや。店じゃなくて、今日は出張で施術の予約が入ってる』
『ふーん』
『朝飯、用意してあるからちゃんと食っていくんだぞ。それから弁当も忘れずに持っていけよ』
『わかってる』
父はそのまま忙しなく一階に下りていった。
私にとって大事なのは家族。大好きな祖父母と一緒に過ごせる今の幸せを噛みしめながら、私は芽依紗と呼ばれていた前世へと思いを馳せた──。
『おはよう、芽依紗ー。起きてるか?』
父が襖の向こうから私を呼ぶ。
思春期真っただ中の中学生の私は、少し不機嫌な声でそれに答える。
『今起きた』
少し立て付けの悪くなった襖を引き開け居間に行くと、父はもう施術着に着替えていた。
『芽依紗は今日、学校のレクリエーションでハイキング登山だったよな』
『そうだけど。なに、もう店に行くの? 早くない?』
鍼灸マッサージ師の父は、築何年にもなる小さな二階建ての我が家の一階で治療院を営んでいた。
『いや。店じゃなくて、今日は出張で施術の予約が入ってる』
『ふーん』
『朝飯、用意してあるからちゃんと食っていくんだぞ。それから弁当も忘れずに持っていけよ』
『わかってる』
父はそのまま忙しなく一階に下りていった。