秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官（※その実態はお妃候補）に任命されました！

「なんだと!?　詳しく教えてくれ」
　俺はドクドールに噛みつくように尋ねた。
「私は昨日の朝まで娘夫婦が暮らす隣国ウォールド王国に滞在していたんです。ロディウス様とはグリニーズの馬車駅で偶然お会いしたのですが、これからウォールド王国に入り、名産を買い漁るのだと意気込んでおりましたよ」
「昨日、ロディウスと……？　なんということだ、ではロディウスは今頃ウォールド王国にいるのか……」
　宮廷晩餐会の折、イザベラ姉上と懇意にしている令嬢たちからロディウスのメイジー滞在を耳にした。彼女らは『保養で滞在していたメイジーでロディウス様を見かけた』のだと言っていた。それに姉上が『そう言えば、ロディウス叔父上が寄越した手紙にメイジーに滞在する旨が書かれていたわ』とたしかにこう答えていたはずだ。