秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ……いや。複数人での談笑中に姉たちが話題にしていたが、俺は直接その会話には加わっていない。その時の俺は、隣からしきりに話しかけてくる令嬢を無視できずに対応しており、姉たちの会話の内容を話半分にしか聞けていなかった。
 後から姉に詳しく聞こうにも、それ以降姉とはすれ違いになってしまい、尋ねるタイミングがないままメイジーにやって来たわけだが……どうやら俺は、なにか聞き違いをしてしまったらしい。
「失礼ですが、ロディウス様ご本人とこの町で会う約束をしたわけではなかったのですね」
「あ、あぁ。たまたまロディウスのメイジー滞在を聞いてな。どうやら俺は、少々早合点をしてしまったらしい」
「さようですか。なにやら、今回はツイておりませんでしたね。肝心のロディウス様はご不在、あげく落石事故の巻き添えとは……」
「まぁ、そういうこともあるだろうさ。次からは、相手がロディウスであれ誰であれ、先に連絡を取ってから動くようにするさ」
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