秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アポロンと合流した俺は、アポロンの背に跨って空に飛び立った。メイジーの町を眼下に眺めながら、俺の心は高揚していた。ドクドールは俺に『ツイておりませんでしたね』とこう言った。しかし俺は、この町で積み重なる不運をすべて帳消しにする運命の出会いを果たした。
 女性に触れて、呼吸苦などの症状が現れなかったのは初めてのこと。死にかけていたために、たまたま症状が出なかった可能性もゼロではないが、俺は彼女だけが特別であることを半ば確信していた。
「……早く君に会いたい」
 彼女を見つけたら、まずはありったけの感謝を伝えたい。そして彼女に確かめたかった。
 ただし、俺がこんなにも彼女に心惹かれているのは、決して症状が出ないことだけが理由ではない。彼女だから、こんなにも惹き付けられる。
「また、耳に心地よく響く凛とした声が聞きたい」
 彼女が紡ぐのは、きっと社交界の令嬢たちようにドレスや宝石の自慢、下世話な噂話の類ではない。あの声で俺の知らない新しい話を聞かせてくれるに違いない。
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