秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
一階から、使用人たちが慌ただしく行き交う足音がした。さらに屋敷全体が浮足立っているような妙な空気を感じた。
「はて、来客だろうか?」
祖父とふたりで首をかしげていると。
──コンコン。
「あなた、お灸中に申し訳ないけれど、すぐいらしてくださいな」
ノックの後、祖母がいつになく慌てた様子で扉越しに告げる。
ただしその声に不安や怯えの色はなく、むしろ、僅かに弾んでいる。どうやらトラブルの類ではなさそうだった。
「いったいどうしたんだね、アマンサ?」
すぐに祖父が、祖母に問う。
なんにせよ、祖母がお灸の最中にこんなふうに声をかけてきたのは初めて。なにかあったのは間違いない。
私は祖父から指示を受けるよりも先に、お灸を中止するべく動きだす。金属製のシャーレを祖父のすぐ脇に用意すると、手前のお灸から台座ごと掴み上げてシャーレに置く。
「実は今ね、下にアズフィール様がいらっしゃって……あっ!」
……アズフィール様? 誰かしら。
「はて、来客だろうか?」
祖父とふたりで首をかしげていると。
──コンコン。
「あなた、お灸中に申し訳ないけれど、すぐいらしてくださいな」
ノックの後、祖母がいつになく慌てた様子で扉越しに告げる。
ただしその声に不安や怯えの色はなく、むしろ、僅かに弾んでいる。どうやらトラブルの類ではなさそうだった。
「いったいどうしたんだね、アマンサ?」
すぐに祖父が、祖母に問う。
なんにせよ、祖母がお灸の最中にこんなふうに声をかけてきたのは初めて。なにかあったのは間違いない。
私は祖父から指示を受けるよりも先に、お灸を中止するべく動きだす。金属製のシャーレを祖父のすぐ脇に用意すると、手前のお灸から台座ごと掴み上げてシャーレに置く。
「実は今ね、下にアズフィール様がいらっしゃって……あっ!」
……アズフィール様? 誰かしら。