秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 祖母が口にした名前を頭の中で反芻していると、外から扉が引き開けられる。そうして扉から顔を現したのは戸惑った表情の祖母と……えっ!?
 あの時の彼だわ……! どうしてここに彼がいるの!?
 今まさにふたつ目のお灸を掴み上げていた私は、予想外の人物の登場にビクンと肩を揺らした。すると、あろうことかその衝撃で台座の上から燃焼中のもぐさがポロッと落ちてしまう。
 いけないっ!
 私は咄嗟に左手を伸ばし、祖父の肌に落ちる直前で燃えるもぐさを手のひらに受け止めた。
 熱っ!!
 小ぶりのもぐさなら肌の上に直接据える手法もあるが、私は初めから台座の上で焚くことを想定している。そのため、普段より小さめにしていたとはいえ、もぐさはそれなりの大きさがあり、その分温度も高い。
 左手で受けたもぐさはすぐにシャーレに離したけれど、もぐさに触った部分がジンジンしていた。
「おい!? 燃えたものを素手で掴むなど、なにを考えている!?」
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