秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
治療院を閉めて二階に上がってきた父は、居間でだらしなく寝そべる私に気づいて苦笑した。
『もう足がパンパンだよ。往復で二十五キロってふざけてるし。うちの学校ほんとイカレてるよ』
へとへとの私は不貞腐れて答えた。ついついトゲトゲしい物言いをしてしまうのは、思春期にはありがちだ。良くも悪くも、私は父に甘えていたのだろう。
『はははっ。そうか、それは大変だったな』
父が笑いながらすぐ横に胡坐をかいたかと思えば、むんずと私の足を掴んだ。
『全然笑いごとじゃない……って、ちょっと!? お父さん、なにしてんの? 早く晩ご飯にしてよ!』
『ちょっとくらい飯が遅れたって構うもんか』
驚く私を余所に、父は夕食作りや洗濯など溜まった家事を後回しにしてちゃぶ台の脇から鍼灸道具一式が入った鞄を引き寄せると、お灸の準備をし始めた。
『ちょうどいい、騙されたと思って任せてみろ。足の疲れは、ツボ〝三里〟の灸ですぐ楽になる』
『ハァッ!?』
『もう足がパンパンだよ。往復で二十五キロってふざけてるし。うちの学校ほんとイカレてるよ』
へとへとの私は不貞腐れて答えた。ついついトゲトゲしい物言いをしてしまうのは、思春期にはありがちだ。良くも悪くも、私は父に甘えていたのだろう。
『はははっ。そうか、それは大変だったな』
父が笑いながらすぐ横に胡坐をかいたかと思えば、むんずと私の足を掴んだ。
『全然笑いごとじゃない……って、ちょっと!? お父さん、なにしてんの? 早く晩ご飯にしてよ!』
『ちょっとくらい飯が遅れたって構うもんか』
驚く私を余所に、父は夕食作りや洗濯など溜まった家事を後回しにしてちゃぶ台の脇から鍼灸道具一式が入った鞄を引き寄せると、お灸の準備をし始めた。
『ちょうどいい、騙されたと思って任せてみろ。足の疲れは、ツボ〝三里〟の灸ですぐ楽になる』
『ハァッ!?』