不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

『申し訳ないですが、私は結婚しています。もうすぐ夫も戻ってきますので、お引き取りください』
『きみの旦那さんは僕の友人たちが引き留めてるからすぐには戻らないよ。ちなみに、美しい女性の友人ふたりだ』
『えっ?』

 意味深な言葉に胸がざわめき、男性の顔を見る。彼は膝を折って目線を合わせると、ちらりと私の手元を見て言った。

『結婚指輪をはめているきみに声を掛けたのもわざとさ。僕、人妻に興奮するタイプなんだ。一緒に僕の部屋に行こう。退屈な船旅に刺激を与えてあげる』
『結構です……っ!』

 徐々に顔を近づけてきた彼が至近距離で囁き、肌が粟立った。

 なんて危険な性癖の人に目を付けられてしまったんだろう。慌ててビーチベッドから下り、プールサイドを早足で歩く。

『待って、きみって本当に僕好みで、これは神様が与えてくれた出会いだと思うんだ』

 し、しつこい……!

 ますます歩みを速め、必死で男性から逃れようとしていたその途中。前をよく見ていなかったせいで誰かにドンとぶつかってしまった。

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