不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす
「斗馬さん! 見て? 花火が……!」
「ちょうど、時間ぴったりだったな」
斗馬さんが操舵室を出て、デッキにいる私の隣に並ぶ。
時間ぴったりということは、今日この時間に花火大会が開催されるのを知っていて、斗馬さんはこの場所へ連れてきてくれたということだろうか。だとしたら、すごく嬉しいサプライズだ。
「今日、なにかのお祭りの日だったんですか?」
「いや、別にあれは祭りの花火じゃない」
「えっ?」
予想外の返事に、目を丸くする。
だったらなんでこんなにたくさんの花火が?
「千帆の誕生日、なにかサプライズを計画したいと思って、きみの宮崎出張が決まってから急遽花火師を雇ったんだ。その花火師にきみのための特別な花火プログラムを組んでもらって、高台の方にある、剣先家の私有地で上げてもらっている」
潮風で前髪を揺らしながら、斗馬さんがさらりととんでもないことを言う。
次々打ちあがる花火は、テレビ中継されるような有名な花火大会に引けを取らない数、それに豪華さだ。
それを個人の誕生祝いのためだけに用意するって……サプライズの域を超えていないだろうか。でも、それほど斗馬さんが私を大切に思ってくれているという証拠だ。
夢のようなこの光景を一瞬も見逃したくない。