公爵の娘と墓守りの青年

「ありがとう、ネリー」

穏やかに微笑み、カイはネレヴェーユの頬に優しく口で触れた。

「どういたしまして。私達も小屋に行きましょう」

嬉しそうに微笑み、ネレヴェーユはカイとビアンが住む小屋へと歩き出した。

「……俺、やっぱりネリーに弱いなぁ」

照れたように呟き、カイは天を仰いだ。

「……いつか、長い螺旋から抜けられたら、ネリー……」

――一緒に色々なところに行こう……。

カイの呟きは穏やかに吹く風に乗り、消えた。



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