公爵の娘と墓守りの青年
「……ふふっ、貴方の周りってやっぱり楽しいわね」
口に手を当て、楽しそうにネレヴェーユは笑う。
「それに、皆さん、貴方想いの良い人達だわ」
「そうだね。俺はとんでもない罪を背負ってるのに、恵まれすぎてるんじゃないかって思うよ」
すたすたと小屋へ歩くビアンの後ろ姿を見つめながら、カイは頷く。
しばらく、カイは静かに自分の小屋を見つめ、穏やかに目を細めた。
何を見ているのだろうかとネレヴェーユは不思議そうに首を傾げる。
「……ネリー。もしかしたら、これから君をまた泣かせてしまうかもしれない。その時は……ごめん」
ぽつりとカイはネレヴェーユに目を向け、告げた。
申し訳なさそうなカイの表情に、ネレヴェーユは戸惑った。
「……どうして、そんなことを言うの? これから何かが起こるの?」
カイの腕に触れ、ネレヴェーユは不安げに彼を見上げた。
緩く首を振り、カイは静かに口を開く。
「分からない。けど、また君を泣かせてしまう。そんな気がする」
「……私は、貴方のことになるといつも泣いてばかりよ。でも、私は貴方と一緒に何処までもついて行くわ。カエティス」
潤ませた目で、ネレヴェーユは恋人に微笑んだ。