公爵の娘と墓守りの青年

「まぁ、そうだな。その理由でしか来ないだろ、この場所に」

レグラスの言葉に頷き、ビアンは言い放った。

「ひどっ。そこはさ、ちょっとくらい優しい言葉を投げ掛けてくれよ。俺、結構、繊細なんだぞ」

「……とにかく、過去を見せろ」

さらりと流し、ビアンは脅すように言った。

「俺、泣いてもいい……? 泣いても無視だよな、きっと。で、何時の頃から見たいんだ?」

深い溜め息を吐き、レグラスはネレヴェーユ達に問い掛けた。

「出来れば、カエティスが子供の頃くらいからが見たいな。気になることがあるからさ」

呆気に取られているリフィーア達の代わりにエマイユが答えた。

「子供の頃、ねぇ……。分かった。時間がないようだし、俺が頃合いを見て適当な時間に飛ばしていく形でいいか?」

「ありがとうございます、レグラス。とても助かります」

「良いってことよ。俺とネレヴェーユちゃんとの仲じゃん」

にこやかに笑い、レグラスは胸を張った。

「……カエティスに言っちゃおう♪」

ニヤリと笑みを浮かべ、エマイユは呟いた。


< 235 / 482 >

この作品をシェア

pagetop