公爵の娘と墓守りの青年

「初対面の子に遊ばれちゃってるよ、俺……」

がっくりと項垂れ、レグラスは溜め息を吐く。

「あの、ネリーさん。この人は誰ですか?」

「あ、すみません。リフィーアさん達は初めてでしたね。彼はレグラスという名前で、この二つある扉の番人です」

微笑みながら、ネレヴェーユはレグラスを紹介する。

「よろしくー」

にこやかに笑い、紹介されたレグラスはリフィーアに手を振る。
それを見ていたウェルシールが小さく唇を尖らせる。そんな彼の横でエルンストが小さく吹き出した。

「二つの扉はどういったものなのですか?」

リフィーアとウェルシールを微笑ましく見ながら、トイウォースがレグラスに尋ねた。

「ああ、これ? 赤いのが過去を見に行くことが出来る扉。もちろん、行っても過去の出来事を変えることは出来ない。ただ見るだけの扉だ」

左にある大きな赤い扉を杖で差し、レグラスは答えた。

「んで、青い扉が……まぁ、俺の部屋だ」

頬を掻き、レグラスは大きな青い扉を指差した。

「え、何で自分の部屋まで番人してるの」

呆れた顔で、エマイユは聞く。

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