公爵の娘と墓守りの青年
「ビアンさん、待って、下さい……!」
早足で前を歩く狼に、リフィーアは声を掛けた。
普段より早い歩き方をしていることもあって、息が上がる。
相手は四本の足の早足で、こちらは二本の足の早足だ。明らかに速度が違う。
ビアンは要求通り足を止め、リフィーアが近付くのを待った。
ビアンの近くで足を止め、リフィーアは呼吸を整える。
整えながら前を向くと、墓地から都の中へ続く門が見えた。
あと少しで墓地の外だ。
流石にあの呻き声を上げる連中も、家々が並ぶ都の中にまで出て来ないだろう。
「ビアンさん、急ぎ過ぎですよ」
ようやく呼吸も整い、喋れないと分かっていながらもリフィーアは言った。
「――あいつと早く離れないと、お前が危なくなるからな。危ない目に遭えば、俺があいつに怒られる」
少し不機嫌な低い声がリフィーアの横から聞こえた。
「……えっ?」
突然、発せられた低い声に、リフィーアは驚いて辺りを見回した。