公爵の娘と墓守りの青年
迫る数多の手を避け、カイはシャベルを斜めに構える。先程から同じことの繰り返しだ。
カイは息も乱さず、涼しげな顔で目の前に立つ団体様を見渡す。
「うーん。早く彼らを眠らせたいよなぁ……」
小さく漏らし、カイはシャベルを上から下へと動かした。
カイのすぐ目の前にいた団体様のうち、三体が呻き声を上げる間もなく、白い光が触れて消える。浄化だ。
団体様の手が伸びる前に、カイは再び、右から左へとシャベルを何度も滑らせる。滑らせる度に何度も白い光が輝き、どんどん団体様の数が減っていく。
呻き声を上げ、突進を試みる者も何体も現れる。
が、カイはそれをシャベルで受け止め、すぐ白い光で浄化した。
ようやくこれで終わり、カイは小さく息を吐く。
「……これで全部かな」
シャベルの金属部分を地に刺し、カイは周囲を見渡す。
「術者の気配はここにはないようだけど、明らかに俺と奥のアレ狙いだよなぁ……」
そう呟き、カイは顔を顰めて墓地の奥に向ける。
「だからといって、眠りについていた人達を使って、リフィーアちゃんを襲おうとするのは許せないな」
眉を寄せ、苦い表情を浮かべる。
安らかに眠っていたであろう人達の肉体を使い、自分はともかく、遊びに来ていたリフィーアまで襲おうとしていたのだ。彼女は気付いていないようだったが。
そんな彼女だからこそ、カイは余計に心配してしまう。
「……やっぱり、俺から離れた方がいいって、言わないといけないかな……」
暗い夜空を見上げ、カイは呟いた。
夜風がゆっくりとカイの赤い髪を揺らした。