公爵の娘と墓守りの青年
いつも通りの朝を迎え、リフィーアはベッドから起き上がった。
跳ねている髪の毛を櫛で丁寧に梳かし、服を着替える。
朝食のパンをかじりながら、昨日の帰り際にビアンに言われたことを思い出す。
『公爵の娘。死にたくなければ、この墓地……いや、カイには近付くな』
冷たく、突き放したようなビアンの言い方にリフィーアは眉を寄せる。
本当に意味が分からない。
昨日で二回目だが、昨日の昼の時点ではビアンは友好的で、リフィーアに近付いて横でゆったりと座っていたのだ。
そんな彼が、昨日の夜、突き放すように言ったのだ。
「墓地に近付くなっていうのは分かるけど、何でカイさんもなのよ」
お茶を飲みながら、リフィーアは頬を膨らませる。
父のような、兄のような優しいカイは家族以外に両親を知っている。
両親を知らないリフィーアはもちろん知りたいし、何より謎だらけのカイのことを知りたい。
「ビアンさんに何を言われようと行こう! それとどうしてビアンさんが話せるのか聞かなくちゃ!」
すっくと立ち上がり、リフィーアは素早く食器類を片付けた。
そして、貯蔵庫からカイに差し入れをするパンを取り出し、手提げ袋に入れる。
準備は万端だ。
リフィーアは拳を握り、小さく気合いを入れて家を出た。