公爵の娘と墓守りの青年
そう言いながら、ネレヴェーユはカイの胸を手でそっと触れる。
今は穴もなく、何より温かい。
あの時のように冷たくはなく、手からしっかりと鼓動を感じる。
ネレヴェーユは様々な思いが溢れ、涙を流した。

「君のおかげでね。ありがとう、ネリー」

ネレヴェーユの白に近い水色の目から流れる涙を親指でそっと拭い、カイは穏やかな笑みを浮かべる。

「カエティス……ごめんなさい」

いきなり謝るネレヴェーユに、カイは目を丸くした。

「何で謝るんだい? 君は悪いことをしてないのに」

首を傾げて言いながら、カイはネレヴェーユを切株に座らせる。そして、自分は対面になる位置の地面に胡座をかく。

「だって、私、貴方が死にかけていた時に傍にいなかったし、それに長い時間を生きられるようにしてしまったから……」

ネレヴェーユは震える声で呟くように言った。
俯き、白に近い緑色の長い髪が肩から一房流れる。

「俺が死にかけていた時のことはミシェイルから聞いたし、長い時間を生きられるようになったのもネリーのせいじゃないよ」

小さく自嘲するような笑みを口元に浮かべる。

「むしろ、こんな状況を招いたのは俺の方だよ」
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