公爵の娘と墓守りの青年
隣にいたビアンが立ち上がる気配を感じ、カイは彼に目を向ける。
ビアンは何も言わず、すたすたと何処かへ歩いて行った。
気を遣って離れてくれたのだろう。
そんな相棒に心の中で感謝をしながら、カイはネレヴェーユにもう一度目を向けた。

「本当に気にしなくていいんだよ、ネリー」

「でも、私のせいで貴方はこの墓地にずっと……」

「それがさぁ、ここの墓地、昔から広いから忙しかったんだよね。お客さんもたくさん来たし」

明るい声でカイが言うと、ネレヴェーユは眉を寄せた。
カイの「お客さん」という言葉が気になったのだ。

「……お客さんって、女の人?」

「へ?」

間の抜けた声で、カイはネレヴェーユを見た。その彼の顔はきょとんとしていて、本当に驚いている。

「お客さんで女の子って、滅多に来ないよ、ネリー。まぁ、生前は女の子だったかもしれないけど」

「え……? 生前って……もしかして……」

「うん、ずっと前に亡くなった人達。結構、来るんだよね。彼ら」

「……そう。びっくりした」

カイのその言葉を聞いたネレヴェーユは不謹慎なのは分かっているが、心底安心した表情を見せた。

「私、勘違いしてたわ……」

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