公爵の娘と墓守りの青年
「え? 勘違いって、何を勘違いしてたんだい?」
「なっ、何でもないわっ! 気にしないで、カエティス」
ネレヴェーユは両手を振りながら、慌てて言った。
「そう? 分かった。気にしないでおくよ。ところで、ネリー。聞きたかったんだけど、どうして木の上にいたんだい?」
カイの言葉に、今度はネレヴェーユがきょとんとする番だった。
「え?」
カイの言葉の意味をようやく理解したネレヴェーユは顔を赤くして俯いた。
「あ、あのね……カエティスを驚かせたかったの。久々に会うから、変わった再会もいいかなぁ……って」
本当は抱き着きたかっただけなのだが、そのことを言うのは恥ずかしいと思ったネレヴェーユは言わないでおいた。
「……まぁ、確かに、変わった再会の仕方だったね……。危うくあちらの世界にいる先生に会いそうだったよ。会ったら、怒られるだろうな」
片膝を立て、カイは苦笑いを浮かべる。
その苦笑いを穏やかな笑みに変えて、カイは切株に座るネレヴェーユを見上げた。
「そのことは置いといて。ここまでよく来てくれたね。お父さんに怒られなかった?」
「それが、そのお父様が私を部屋から出すようにトーイに頼んだの」