BeAST
「誰かになんかされたのか?」
俺の前にしゃがみこむ慎矢。
「ふふ、俺の事殴るのも躊躇しない慎矢が、俺の心配してる…」
ぐっと、押し黙る慎矢。
「慎矢の気持ち、全部分かった気でいたから、バチ当たっただけ」
慎矢の行動心理は分かってる。
けど、人を好きになるのがこんなにしんどいのは知らなかった。
「…俺、ちゃんとお前のこと、救えんのかな」
救わなくても、慎矢と皇がぶつからなければいい。
でも、俺は救うって決めた。
自信があったから。
俺と同じだって思ったから。
でも、今は。
「皆救いたい。笑ってて欲しい。俺は生きてていいんだって、思いたい」
しゃくりあげるように泣く。
「やっぱり、俺は要らねえのかな。大事な人、悲しい顔にさせることしかできねえのかな。」
『許さない』
この声に、救われる日が来るなんてな。
頭が冷えていく。
元から、要らなかったじゃないか。
必要とされたことなんてなかったんだ。
欲が、出たんだ。
「そっか」
あまりに俺を大切にしてくれる人が増えたから、自分に価値があると思い始めてしまっていた。
「そうだよな。慎矢は昔の俺より軽傷なんだ。元が違うんだ。」