BeAST
もう、半ば諦めていた。
どれだけ突き放しても寄ってくる。
多分、ひとつ上の学年に環がいたから、そうなれるとでも思ったんだろうけど。
「中学は別になって、放課後になると俺の学校まで来る。ある日からお前の話ばっかり。なんで俺が他人の恋バナなんか聞かなきゃいけねえんだよってうんざりしてた。」
「放課後、用事ってお前だったのか」
不思議な感覚。
同じように進んでいた時間。
そして、中二の冬、慎矢と皇、ハルの時間は止まった。
「飛び降りる前の日、あいつは俺にこう言ってた。『あたしは馬鹿だ。慎矢を裏切って、漸を悪者にした』って。俺はハルが嫌いだった。だから、どうでも良かった。嘘をつく理由が分からなかった。でも」
でも今なら
「今なら、分かる。あの馬鹿の考えが理解出来る。納得はしないけどな。」
ハルは、どうしようもなく、慎矢が好きだった。
俺や慎矢みたいな人間を放っておけない人間だった。
「…でも、柊吾を救おうとしたのは、間違いだ。ハルに救えるわけがない。」
そう呟けば、
「は……?」
低い声。
俺はその声に答えるつもりはない。
「慎矢」
呼んでおいた。
「…は?なんでお前が」
「俺が呼んでおいた。もう俺の事尾行すんなよ?じゃあな」
「お前が呼んだのか」