BeAST




『ひおちゃん』


『名前呼ぶな』



「俺に着いて回って、俺に近付くとどうなるか他の奴らに言われてんのに、馬鹿みたいに寄ってくる。」



友達でもなんでもない。

本当に嫌いだったんだ。


「友達でもなんでもねえのに勝手に話し出す。俺が風呂に入ってようが、着替えをしてようが、寝てようが、こっちの都合なんざ考えない。屋上から飛び降りたあの日、俺は単純に、やっぱりあいつは馬鹿だったんだなって思った。」


慎矢の拳が震える。


「俺は、あいつが嫌いだ。昔から大っ嫌いだった。嫌われてもあたしが灯織のこと好きだからいいんだって笑ってた。でも唯一、お前には、慎矢には嫌われたくなかった、馬鹿な女」




興田春は、俺が小6まで同じ学校でずっと同じクラスだった。

中学からは放課後になると俺の中学に来て、孤児院で寝泊まりしていた。

孤児院に入ってるわけじゃない。

ただ、父親が家にいる日は決まって孤児院に居た。


父親がDV男で、母親は幼い頃に出ていったらしい。


「いつも怪我ばっかして、キレると何をするか分からない俺は、父親と何ら変わりない。それでも、あいつは寄ってきて、『女の子なんだからすぐに手当てしないと』って勝手に怪我の手当し始める馬鹿。」



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