BeAST
「灯織くんいるぅー?」
教室の入口、確か1-Dの中島。
「あ!居た!」
パタパタと俺のところにやってくる。
「ちょっと来て」
腕を掴まれ、強引に教室の外に出る。
嫌な予感がする。
「待って」
立ち止まり、グッと中島の腕を掴む。
「ん?」
「1-D行くのか」
「え、よく分かったね?」
「誰かに頼まれたのか」
目をぱちぱちと瞬かせ、仕方がないかと言いたげにため息をつく。
「慎矢が呼んでる」
やっぱりな。
「悪いけど、俺は行かねえ」
中島薫子(なかじまかおるこ)。校内で俺に話しかけてくる女の一人だけど、柿谷と繋がってたんだな。
まあ、柿谷の方は無口でもなけりゃ愛想が無いわけじゃないっぽいしな。
友達か、それ以上か。
そこは知らないが。
「えぇえ?そんな事言わないでよぉ。薫子が慎矢に怒られちゃう」
そんなん知らねえよ。
と言いたいところだ。
いや、言っていいはずだ。
「慎矢に捨てられちゃう」
……は?
「付き合ってんの?」
「んーん、セフレ」
鈍器で頭を殴られた気分だ。
「慎矢とセフレになるにも、結構大変なんだよ?慎矢に気に入られるように頑張ってる子沢山いるし、競争率が」