BeAST
「今、俺がどんな理由を言ってもお前は納得しねえ。無駄な労力使わせんな。退け」
腕の下をくぐって教室に向かおうとすれば、後ろから抱きしめられる。
「おい」
声をかけても、ぎゅうっと抱きしめるだけ。
「お前、見られたら困るんじゃねえの」
柿谷と違って、親の前ではいい子にしてるからこそのこの性格なんだろう。
こいつは、もっと感情を前に出させるリハビリしねえとな。
「今、何考えてる」
「……」
「怒んねえし、引かねえから言ってみろ」
少し力の緩まる腕を解いて、向かい合う。
「慎矢に構うな。慎矢んとこ行くな。慎矢より、俺を、見てくれ」
眉間に皺を寄せて、懇願するように俺を見る。
美形のその顔は破壊力があるな。
何がそこまで、お前を動かすんだ?
俺は、お前になにかした覚えはない。
「あいつに、お前が殴られるとか考えるだけで、頭おかしくなる」
拳だけじゃなく、体まで震わせる皇。
「分かった。今度は殴らせねえから。俺は別にあいつに好きだとかそんな感情は持ってない。ただ、ちょっとやることがある。」
俺の手を握る皇。
「あと、お前がこの前やった事、許してねえからな?普通に話しかけてんじゃねえよ」
額にデコピンを食らわせて手を振り払う。