BeAST
「この間飛び降りた時も、色々考えて飛んだって言ったろ。それも、昔の名残りっつーか」
「名残?」
「暴れすぎて隔離されてた時期もあって、どうやったら脱走できるか考えてた」
「お前は脱獄犯か」
「ははは」
「全然笑えないからね、灯織」
懐かしい。
俺は今、あの頃のことを懐かしいって思えてる。
皇や柿谷の記憶は、まだ、懐かしいなんて思い起こせる記憶じゃない。
1番思い出したくない記憶は、俺も忘れたまんまだし。
耀介が俺に持ってきたんだ。
多分、理由があるんだと思う。
柿谷の様子を見て、少し考えた。
2人の状況と、境遇を自分に重ねたら、ただ俺がここに来させられたとは考えにくかった。
俺だから。
環は怒ったけど。
耀介は、きっと、自分のことも責めてた。
こうなるかもしれないと、分かっていたから。
「まあ、いずれにしろ、お前らに会えたんだもんな」
…やべ、口に出た。
「……何、急に」
「灯織が、デレた」
「どゆこと。なんでそうなった」
「あはぁ、灯織可愛い」
俺の首にギュッと抱きつく与坂。
「苦しい、離れろ、暑い」
「そぉだよ、灯織。灯織はいろーんなこと考えてる人だもんね。皆知ってるよ〜。だから、しんどい時はうちらに何でも言っていいんだよぉ。甘えてもいいんだよぉ」