BeAST




「結局、どこまで運んだの」



「美術館の方」


休み時間に俺に聞きに来たメガネ。


「え?遠すぎない?」


「腕死んだ」


「ははは、お人好しだな」


「アンタ、意外に面白いね」


サバサバしたショートカットの女。



そう。

俺の初めての友達。



_____



「弓木、ちょっと良いか」


橘に呼ばれ、教卓の方へ行く。


「お前今日日直だよな?」


「ん」


「このリストの教材、化学準備室から持ってきてくれねえか」


「だるい」


「よろしく」


俺の言葉なんぞ、聞いちゃいねえ。


「アイス」


「交換条件出すな。5限までな。頼むぞ」


チッ

舌打ちをすれば、教師に舌打ちすんな!と怒鳴りながら橘は出ていった。



「うわあ、灯織どんまい」


さっさと終わらせるか。


リストを持って化学準備室に行く。

ガラガラと若干重い扉を開ければ、薬品の香りに包まれる。


化学の教材とはいえ、実験じゃねえから薬品とかはリストにない。


リストにある模型などを橘に渡された籠に入れていく。


……ん?


誰かいる。


「……は、あっ」


漏れてしまった、声。


俺が来たから我慢してたけど、みたいな声。


女の声。


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