BeAST



困ったように眉を八の字にするばあさん。


あーーーーーーーーーーー


「心配してんだよ。察せ」


顔が、カッと赤くなるのが分かる。

それを見てばあさんが、弾かれたように笑った。


「ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね」



…ホント、力の無さに呆れる。

男ならこんなん軽々いけんだろうな。


いや、荷物さえなきゃ。

つか、何入ってんだよこの荷物。


金もあればタクシー捕まえんだけどな。

そんな金もない。

第一、その方がばあさんは遠慮するだろう。



汗を拭い、教室に入った時、担任に怒鳴られた。

入学早々、遅刻とは何事だ、と。


が、しかし


「先生!違うんです!!!」


「そう!違うんですよ!」


クラスの奴らが立ち上がって、俺がばあさんを運んでいたことを口々に話す。

その光景に担任が圧倒されている。


「ほ、本当か、弓木」


「見てたやつがいるなら、本当なんじゃねえの」


あんだけ、学校の近くで大声出せば、目立つわな。



「すげえカッコよかったんすよ!!!あれは、ばあちゃんも惚れてたな。なあ!」


周りに同意を求める、声のでかい馬鹿。


今も変わらず、声のでかい馬鹿。



「ねえ、あたし与坂舞子。あたしも朝見てたんだぁ。かっこよかったなぁ。灯織って呼んでもいい?」


後ろの席から間延びした口調で話しかける与坂。





< 83 / 337 >

この作品をシェア

pagetop