BeAST
困ったように眉を八の字にするばあさん。
あーーーーーーーーーーー
「心配してんだよ。察せ」
顔が、カッと赤くなるのが分かる。
それを見てばあさんが、弾かれたように笑った。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね」
…ホント、力の無さに呆れる。
男ならこんなん軽々いけんだろうな。
いや、荷物さえなきゃ。
つか、何入ってんだよこの荷物。
金もあればタクシー捕まえんだけどな。
そんな金もない。
第一、その方がばあさんは遠慮するだろう。
汗を拭い、教室に入った時、担任に怒鳴られた。
入学早々、遅刻とは何事だ、と。
が、しかし
「先生!違うんです!!!」
「そう!違うんですよ!」
クラスの奴らが立ち上がって、俺がばあさんを運んでいたことを口々に話す。
その光景に担任が圧倒されている。
「ほ、本当か、弓木」
「見てたやつがいるなら、本当なんじゃねえの」
あんだけ、学校の近くで大声出せば、目立つわな。
「すげえカッコよかったんすよ!!!あれは、ばあちゃんも惚れてたな。なあ!」
周りに同意を求める、声のでかい馬鹿。
今も変わらず、声のでかい馬鹿。
「ねえ、あたし与坂舞子。あたしも朝見てたんだぁ。かっこよかったなぁ。灯織って呼んでもいい?」
後ろの席から間延びした口調で話しかける与坂。