魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 石造りの塔は、アベルの弟がいると聞かなければ、罪人でも閉じ込める場所かと思ったかもしれない。

 そのぐらい周囲には人の気配がなく、寂しい場所だった。

「ノイン、俺だ」

 アベルが塔の入口に向かって声をかけると、ややあってから扉が開いた。

「せめて名乗ってくれ」

 呆れたように言った彼が、アベルの弟であるノインなのだろう。

 アベルよりも声が低く、艶がある。耳に心地よい音だ。

 アベルとはふたつか三つほどしか年が離れていないように見える。でも、兄弟だというのに全然似ていない。

 快活で常に笑みを浮かべているアベルに対し、ノインは不機嫌そうでむっつりと唇を引き結んでいる。

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