魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「楽しくていいんだね」

 実家にいた頃、錬金術は隠れてやらなければならないことだった。

 どんなに楽しいと思っても、その気持ちを見せるのは許されなかった。

「だめなんだと思ってた。あの家ではいけないことだったから」

「じゃあ、どうしておまえは錬金術をやめなかったんだ」

 まっすぐに見つめられながら問われ、初めて自分の内側の気持ちと向き合う。

 適性がゼロだとしても、魔法師の役に立つ仕事はほかにもたくさんある。そちらの道を選んでいれば、少なくとも家を追い出されずに済んだかもしれない。

 だけど、私は錬金術を捨てられなかった。

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