魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
「アベルのために今の人生を決めたわけじゃない。僕は、生きてもいいと言ってくれた兄に、そう選択してよかったと思わせたくて生きているんだ」

 ひねくれた言い方だけど、結局は兄優先で自分の人生を決めているのだ。

 今まで、アベルのようなお兄ちゃんが欲しいと思っていたけど、この瞬間、ノインのような弟が欲しい、に変わった。

「……余計な話をしたな。それを飲んだら、今日はさっさと寝ろ」

 席を立ったノインは、階段へ向かう前に歩み寄ってきた。

 そして、ぽんと私の頭の上に手を置く。

「もう、僕のために泣くなよ。──ありがとうな」

< 198 / 466 >

この作品をシェア

pagetop