魔力ゼロの出来損ないとして追放されましたが、二度目の人生は隣国の王家お抱えチート錬金術師になりました
 初めて与えられたぬくもりを追いかけるように、ノインの肩口に手を添えて背伸びをした。再び彼が顔を寄せて、吐息が重なりかける。

「ぷぺ!」

 その瞬間、カバンから飛び出したアルトがノインの服を伝って彼の頭に飛び乗った。穴でも掘るようにがりがりと手を動かし、機嫌の悪さを訴える。

「アルト、だめ! やめなさい!」

「ぷぺぺ」

 いつもはあんなに素直なのに、ふいと首を振ってノインの頭から離れない。髪を引っ張られたノインが顔をしかめた。

「おまえ、やっぱりこういう時に騒ぐんだな……?」

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