私はあと何回、彼に恋をするのだろう 〜仕事とストレスと、そして恋と〜
父にも言われたとおり、私の毎日は仕事が中心に回っていた。
仕事が好きだったし、評価が上がっていくことも嬉しかった。

もしいつか、仕事を長期間休むことがあるとしたら、それは産休の時くらいなのだろうと漠然と考えていたけれど、まさか、病気で休むことになるとは思わなかったな・・。

1ヶ月。

休み明けに、私の居場所はあるだろうか。
開発スケジュールは常に逼迫していて、止めることはできない。

だとしたら、私の代わりを誰かがやって、その人が私よりも優秀なら、同じ位置に戻ることはできないんだろうと、寂しく思った。

立ち止まったら、もう、終わりなんだろうな。

私がいなくても、会社は回っていく。
それは当然のことながら、悔しい気持ちもあった。

やっとつかんだポジションなのに・・。

『聞いたよ、ゆっくり休んで』
『復帰、待ってるから』

私の長期休暇を知った人たちから、顔を合わせる度に声を掛けられる。
本音か、社交辞令か。思わず苦笑いした。

もっと無理をして、薬でなんとか抑えて、働き続けることもできたかもしれない。
もし彼に出会っていなければ、きっと私は休むことを選ばなかったと思う。


「中村さん」

廊下で、前から歩いてきた部長に呼びかけられる。

「部長・・いろいろとご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

「いやいや、今まで無理をさせて悪かったね」

「いえ、そんなことは・・」

「中村さんには、何度も助けてもらった。上島くんの時だって、本当は誰もやりたがらなかったんだ。それなのに、文句も言わず頑張ってくれて」

「それは・・仕事ですし、お給料いただいてますから」

「アハハ、それはそうなんだけどさ。
復帰、待ってるから。無理せずにゆっくり休んだら、また帰ってきて。そのまま辞めるなんて、絶対困るからね」

「部長・・」

「じゃ、お大事に。また1ヶ月後にね。
まだ内緒だけど、新しいプロジェクトも控えてるよ・・帰ってくる気になるだろう?」

そう言って、部長はフロアに入っていった。
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