冷血公爵様が、突然愛を囁き出したのですが?
 そして僕は目を覚ました。高熱でうなされていたあの日に時間を戻して。
 
 一体何が起きたのかと理解するよりも早く、僕は部屋を飛び出してマリエーヌを探し始めた。

「マリエーヌ! マリエーヌ! どこにいるんだ!?」

 扉を片っ端から開けまわって彼女の姿を探した。
 とにかく無我夢中で、一刻も早く、その姿を確認したかった。
 会いたかった。謝りたかった。お礼を言いたかった。
 頭の中はぐちゃぐちゃなまま、僕の足は導かれる様に彼女の部屋へと向かっていた。

 その扉を開けた瞬間、懐かしい、温かい風にあおられた様な気がした。
 少し震える様に背を向けた、見覚えのある亜麻色の髪の女性。

 マリエーヌだ。
 
 しばらくして振り返った彼女と目が合った瞬間、僕の中でせき止めていた彼女への想いが一気に溢れ出した。

「あ……あ……。マリ……エーヌ……ほんとに……君……なのか……?」

 今は話せるはずの言葉が上手く出てこない。
 けれど、ずっと言えなかった彼女の名前をやっと呼ぶ事が出来た。
 感動で震えてそれ以上の言葉が出てこない。

 だけど、早く……早く彼女に謝らなければ。あと感謝の言葉も。
 伝えたいことが多すぎる。だけどいきなり全てを伝えてもきっと混乱するだけだろう。
 ならばやはり、まずは謝罪をするべきだ。
 これまでの事を、彼女に謝らなければ……!
 
 「マリエーヌ……君を愛している」
 
 そんな僕の意思を全て無視して、口から飛び出したのは、抑えきれなかった彼女への想いだった。




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