鎖から放たれた蝶々は美しく羽ばたく
神月さんって本当、同じ人間なのか疑わしいよね。
こんなに綺麗なんだもん。

ゆっくりアフタヌーンティを堪能したあとは、なぜかセバスチャンさんも踏まえてババ抜きをした。
なんでセバスチャンさんもなのかって、ふたりだとババ抜きができないからって。

「はい、かしこまりました」

かけている銀縁眼鏡を人差し指と中指でくいっと上げ、セバスチャンさんは向かいあうようにしてソファーに座った。
いや、そこは拒否していいところだと思うけれど、旦那様の命令には絶対なんだろうか。

「……ところで」

「ん?」

神月さんは私のあたまの上で、セバスチャンさんが配ったカードを広げて見ている。
のはいい。
私の座る場所が、完全におかしい。

「これって私、不利じゃないですか?」

「ん?
そうかい?」

とか言いながら、私の手札からハートの2とスペードの2を抜いてテーブルへと投げ捨てる。
私が座っているのは神月さんの足の間、当然ながら私のカードは彼に丸見えだ。

「じゃあ、はじめようか」

私の分まで抜けるカードを抜いてしまい、改めて神月さんが手札をかまえる。
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