禁断の味はチョコレートのように
「今日はここまでにしよう。
明日はそうだね、朝十一時に君の家の前まで車で迎えに行くよ。
服装はかしこまらなくて良いから」
「ちょっと待って下さい、明日は予定が」
「利奈ちゃんから君の予定は聞いてる、土日はオフだって。
でも住所はわからないから教えて欲しいな。
そうしないと今お楽しみの所の利奈ちゃんに何度も電話しなきゃならない。
きっと邪魔されたとご機嫌斜めになってしまうかも」
「そんな」
「今川島さんといる彼女はただの何のしがらみも無い一人の女性だ。
彼女は君の前ではきっと素敵な明るい女性でいようと頑張っていただろう?
でもね、彼女にだって言えない苦しみはそれなりにある。
それを解きほぐしたのは川島さんで、川島さんは彼女の強さに惹かれた。
いつも頑張る彼女がやっと自分をさらけ出せて甘えられているんだ、そんな貴重な時間を潰してしまうのは無粋じゃ無いかな」
信頼し、尊敬していた利奈は今、夫以外の誰かと時間を過ごしているのかと思い杏は衝撃を受けていた。
だが今までの翔太の話を聞いていたせいか、自分の価値観が揺らぎそうになる。
自分が見ていた利奈は時々家庭や仕事の不満を聞いてもそこまで思い悩むようには思えなかった。
だが彼女が奥底に眠る苦しみを隠していたのなら。
それに気付く人が現れてしまったらどうなるのだろう。