禁断の味はチョコレートのように
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土曜の朝、杏は服装選びに悩んでいた。
『日傘か帽子を持ってきてね』
翔太から夜届いたメールに杏は、外でバレないようにして欲しいと言う意味だと取った。
それはそうだろう、妻以外の女性と外にいてバレたら大変だ。
杏はいつも着ない服を漁り、しかし彼の横に立って失礼の無いような服を選ぶ。
選んだのはロングスカートにカーディガンだが色合いは落ち着かせた。
あまり意気込んで楽しみにしていましたなどと取られるのも杏としては癪だ。
スマホが震え、翔太から既に下にいるからゆっくりおいでとメールが届いた。
きっちり待ち合わせの十分前。
もしかしたら彼はもっと早く来ていて、メールを送る時間だけ気遣いすぎないこの時間にしたのかも知れない。
そんなことを考えてしまう自分に杏は戸惑っていた。
「お待たせしました」
そちらに向かいますとメールをしマンション前に出れば、翔太が助手席の前に立っていた。
「可愛いね。どうぞ」
助手席のドアを翔太が開け、杏は中に入る。
男性にこんなことをされたのは初めてだ。
そして車は外車で、シートは革張り。
見るからに高そうな内装にいくらするのだろうと杏は思わずキョロキョロとしてしまった。
横から笑い声がして翔太がシートベルトを締めながら杏を見ている。