禁断の味はチョコレートのように
「車に乗るのは物珍しい?」
「いえ、高そうだと思って」
「高いがどれくらいを想像しているかわからないけれど、安全性も乗り心地も非常に気に入っているメーカーでね。
安全をお金で買えるならある程度出したって惜しくないよ」
出発するね、という翔太に杏ははいと答える。
お金がある人の考え方というのはそういうものなのだろうか。
杏の元彼も車を持っていたいたが、小さくて安い方が良いというスタンスだった。
もちろん助手席のドアを開けて貰ったことなど、付き合い始めから無い。
「あのこれからどこに行くんですか?」
不安げな杏に翔太が悪戯な笑みを浮かべた。
「イイトコロ、だよ」
着いた場所を前に杏は目を丸くしていた。
目の前にあるのは動物園の入り口。
ちょうど翔太が入園券を買って戻ってきた。
「日差しが強いからね、日傘か帽子持ってきた?」
「えっと、帽子を」
取り出したのはツバの広い帽子。
鞄を広げたときにサングラスが入っているのが見え翔太は笑う。
「もしかしてバレないようにって意味だと思った?」
杏は図星で表情を隠すように帽子を目深に被る。
そんな姿に翔太は可愛くて仕方が無い。
「行こうか。まずはどこから回ろう。せっかくだから何かイベントやってるのも見たいね」
無邪気にパンフレットを読む翔太に杏は自然と笑みを浮かべる。