禁断の味はチョコレートのように
「そろそろ閉園時間だね」
「ほんとだ。思ったより満喫してしまいました」
「それは良かった」
人々が出口専用ゲートに向かいそれなりの人混みになりだした。
そっと杏の手が掴まれ、翔太が笑みを浮かべる。
「人が多いからね。
さて、お腹減った?夕食はどうしようか」
既に夕食の時間もスケジュールに入っていることに、杏は当然と思いつつもそこで解放してもらえるのかが気になった。
そんな杏の不安を見透かすように、
「安心して、夕食を食べたら家に送るよ。そして解散。
お昼は軽食に近かったし、そうだな、中華は平気?
この近くに美味しいところがあるんだけど」
「高くなければ」
杏が自分の財布を心配して言うと翔太は吹きだした。
「誘っておいて女の子に出して貰うつもりはないよ。
じゃぁ中華にしよう。北京ダックが美味しいとこなんだよね」
クスクスと笑う翔太に杏は慣れない。
もちろん男性に奢って貰ったことはそれなりにある。
だが翔太はスタートが違うのだ。
既婚者と未婚者。
本来二人で会うことも避けるべき状況なのに、杏は健全だからという気持ちで自分を説き伏せていた。