禁断の味はチョコレートのように


*********


利奈から杏へメールがあったのは土曜日の夜だった。
金曜から土曜は夫は出張だと聞いていた。
おそらく金曜日の夜は泊まってそのまま過ごしていたのだろうと杏は思っていた。

メールには月曜日は夜に会合があるから火曜日夜に会おうというもの。
それもよく使うお洒落なカラオケボックス。
聞かれたくない話はいつもここでしていた。
杏はわかりましたと返信し、火曜日の夜になった。

「全く、何なんですかあの異業種交流会は」

二人で乾杯のカクテルを飲むと、開口一番杏が利奈に言えば利奈はごめんねと言いながらも本気で謝っている気はしない。

「利奈さん、川島さんと付き合ってるんですね」

利奈は軽く笑みを浮かべて話し出した。

「元々はね知人を等した飲み会で知り合ったの。
職種は違えどお互い営業職、それも彼はかなりやり手で私は彼に仕事のやり方についてアドバイスも貰ったりしてた。

二人だけで会って飲み出すようになるまで、時間はかからなかった。
そこで彼は自分は既婚なのだと明かして私もそう伝えた。
だからこそ私は誰にも言えない悩みを打ち明けることが出来たんだ」

儚げに笑う利奈を初めて見た杏はただ続きを待つ。

「私ね、手術して子供が産めないの」

その告白に流石の杏も、え、と声を漏らす。

< 22 / 55 >

この作品をシェア

pagetop