禁断の味はチョコレートのように
「結婚して二年目だったかな、そこから彼は私に触れなくなった。
それまであんなに求めてきたくせに。
最初は手術後で遠慮してるんだと思ってた。
だけどもう大丈夫だと医師が言っても彼は、心配だ、無理をさせたくないと一切触れない。
気がつけば寝室は別々になってた。お互いサイクルが違うからってのが彼の言い分。
そんな彼が浮気してると知ったのは一年後くらい。
男が隠してる事って妻にはバレる物よね。
私が追求したら彼は遊びだったとひたすら謝った。
離婚しないでくれと泣きついてきたのは彼の方なの、そりゃ離婚されたら不味いから」
杏はあまりの話について行けず、ただ聞くことしか出来ない。
「なんで離婚したがらないか疑問よね。
それは彼の借金を私と私の親が肩代わりしているから。
二人のお金なのに勝手に株で使って大損したの。
自分の両親には言えない、貸して欲しいと泣きついてきてね。
もう何年も経つけど微々たる額しか返済してないから九割ほど残金は残ってる。
離婚すれば私達は自分の両親に言うと思ってるから言えないの。
彼は自分の両親には真面目でお金にしっかりした子と思われてるからね」
「なにそれ」
既に利奈の方は怒りなど越えて夫のことをあまりなんとも思っていない。
それがわかる分、杏は驚いていた。
ずっと見てきた利奈はそんなこと微塵も見せなかった。
自分が彼のことで相談しても、利奈は何度も慰め自分が辛いのを二の次にした。
それを川島が救ったのだ。