禁断の味はチョコレートのように
呆然としている杏に利奈は小さく笑う。
「川島さんは私が無理していることに気付いてくれた。
愚痴を聞いて貰っているうち、彼は私を求めるようになった。
不倫なんてと私だって思ってた。
だけどずっと女として見られてなかったのに、彼は私に男として女の私を求めてくれた。
それは私にとって思っている以上に求めていたことだってわかったの。
子供が産めない、もう女として意味が無いって思ってた。
それを彼が打ち砕いてくれて、私に女としての自信を取り戻してくれた。
感謝しても仕切れないのよ、彼には」
利奈は心の底から艶やかな笑みを浮かべ、杏も思わず見とれた。
彼女にこんな表情をさせるようになった川島を、そして利奈をとても責める気なんて杏からは消えていた。
誰がこんなにも満たされた顔をする女性を責めることが出来るだろう。
「ところで橋本さんとはどうなったの?
川島さんは絶対杏ちゃんのことあいつは気に入ったから大丈夫って言ってたけど」
土曜日に出かけたことは翔太から川島には伝わってい無いのか、川島が利奈に言っていないのかわからない。
だが杏としてもここまでのことを利奈から聞いてしまえば素直に白状するしか無い。
「金曜の夜はタクシー代だしてもらってそのまま帰りました」
「え、それだけ?」
「下の部屋には行ってませんよ」
杏の呆れた目に利奈が意地悪ねと笑う。