指輪を外したら、さようなら。
「龍也、地球滅亡の瞬間、誰と一緒に居たい?」

「あきら!」

 私の問いに、龍也が間髪入れずに答えた。

 スッキリ。

 私以外の三人が、聞き間違いかと目をパチクリさせる。



 さ、あとは――。



 龍也と目が合う。

 ニヤリ、と含みのある笑み。



 私が振らなくても、言うつもりだった――?



「え――、龍也が好きなのって――」

「あきら」

 その声は、力強く、迷いもなくて、酔った弾みには聞こえない。



 龍也も、やるじゃん。



 あきらは目を閉じて、何か祈っているようだ。恐らく、龍也が冗談だと誤魔化してくれることを祈っているのだろう。

 けれど、あきらの祈りも虚しく、龍也は更に言い切った。

「俺、あきらが好きなんです」

「マジで!? お前ら、いつの間にデキてたんだよ! つーか、龍也。まさか大学ん時から好きだったとか言わないよな」と、大和が興奮して言った。

「大学ん時も! 好きだったんです。けど、あきらには恋人がいたから諦めたんですよ。ま、今はもう、諦めるのも諦めましたけど」

「どういう意味だよ?」

「諦めるなんて無理だってわかったんで。もう、死ぬまであきら口説いてようと思って」

「どういう意味だよ?」

「諦めるなんて無理だってわかったんで。もう、死ぬまであきら口説いてようと思って」

 突然の告白と展開に唖然としている私たちを置き去りにして、龍也はあきらの手を握り、みんなに見えるように持ち上げた。

「あきら、早く諦めて結婚して」



 え、プロポーズ!?



「俺は絶対諦めないから、あきらが諦めろ」

 龍也を見つめるあきらの表情を見れば、二人の結婚報告が秒読みなのは明らかだった。

「龍也がそこまで本気とはなぁ」と、大和が感慨深そうにビールを飲む。

「つーか、あきらは? 龍也のことどう思ってんだよ?」と、陸。

「好きでもない男とヤルような女じゃないだろ? お前」

 ただでさえ素直じゃないあきらに、この場で自分の気持ちを認めさせるのは、さすがに酷だと思った。

「そんなこと――」

「当たり前じゃないですか!」と、私の言葉を遮って、龍也が言った。

「あきらはそんな女じゃないですよ。けど、素直じゃないからなかなか認めてくんないだけです」

「そんな、難しいことか?」

「それは――」

「そりゃ、そうよ。仲間内でデキちゃって、ダメんなったら、気まずくて堪んないじゃない」

 龍也が上手くかわすだろうことはわかっていたが、歯を食いしばるあきらを見ていると、これ以上龍也に想いをぶつけられるのはツラいだろうと思った。

 本当なら、今すぐにでもこの場から飛び出したいだろう。

「それに、龍也の気持ちがこんだけ本気で、しかも結婚まで考えてるなら、悩まないはずないじゃない」

「えっ!? それって俺が重いってこと?」

「いや、重いってより重すぎだろ。死ぬまで、とか」

「じゃあ、結婚してくんなきゃ死んでやる、とか?」

「あーーー……。あきら、じっくり考えろ?」

「うん、その方がいいよ。龍也がいい奴なのはわかってるけど、さすがに怖いわ」
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