CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた

身体から力が抜けそうになる。肌が火照るのは、シャワーのお湯のせいだけじゃない。

「や…やめて…くださいっ」

震える声でなんとか言うと、すぐにキスで唇を塞がれた。抵抗しようと開いた口の隙間から、彼の舌が入り込んでくる。

(なに…知らない…こんな……知らない!)


荒々しくキスをされる間にも、蓮さんの手は私の肌に触れる。ビクッと反射的に強張った身体は、彼の手でゆっくりと解された。

なにも、考えられなくなる。
頭が真っ白になって、全身がむき出しにされたように感覚が鋭敏になっていった。

纏い付く熱で息苦しい。自然と呼吸が速く、浅くなる。

自分の口から自分のものでない声が出そうになるけれども…はしたない、と口をつぐんだ。唇を噛みながら、涙でぼやける視線を横にやる。

「へぇ…我慢強いね」

ふ、と蓮さんが笑う気配を感じた。感心したのか馬鹿にしたのか…どちらでもいい。私は……彼に遺伝子を貰いに来ただけだから…今だけ。この時耐えれば後は蓮さんと関わらなくて済む。

玲さんだってきっと嫌いな私には触れたくないのに、家のために仕方なくこうして……。


「……ッ!!」

蓮さんが、触れた場所の指を強く動かした。

「なに、考え事?余裕だね」
「……あっ」
「……玲のことでも考えた?」

より、激しい動きで彼は私を責める。

(怒ってる…?なぜ……)

散々私を弄んだ彼は、気が遠くなりかけた私を抱き上げた。



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