CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた
ぼんやりした頭でも、彼がどこを目指すかなんてわかってる。
「ま、まって……」
「待てない」
「せめて、身体を拭かせてください」
私の懇願を無視した蓮さんは、ベッドに私を横たえる。そして、覆いかぶさると冷たい目で見下ろしてきた。
「こんな状況でも、玲に操を立てるのか?」
「………」
答えられなくて、黙ったまま蓮さんから目を逸した。
今から犯す罪で彼を巻き込む自分のエゴが、たまらなく醜く感じて。
「……っ!」
蓮さんの手が、私の身体を強く嬲る。
「……玲を好きなクセに、オレの指に感じるんだ?」
「……く」
必死に、唇を噛んで耐えた。
身体がドロドロに溶けそうなくらい、熱い。
おぼれては、いけない。そう自分に言い聞かせる。
どれだけ耐えただろう。
自分が自分でなくなりそうな怖さに押しつぶされそうになったころ、ようやく蓮さんが離れてくれてほっと息をついた。
だけど。
「なに、安心した?」
蓮さんが再び私に覆いかぶさると、組み敷かれた彼に信じられない体勢にされた。
「や……やめて……こんな……」
恥ずかしくて、羞恥心から死にそうになる。
なのに、彼の瞳には底知れない冷たい炎を見た気がした。
「……ッ!!」
(痛い……!!)
まるで、灼熱の刃のようだった。
彼に抱かれた瞬間、息をするのも忘れるほどの。
「可哀想だね……大嫌いな男に初めてを奪われて」
そう耳元で囁いた彼は、耳たぶを強く噛む。
「痛っ……」
血が、流れる。
キスをされながら思いっきり揺さぶれた後に、散々弄ばれた私は……やがて彼の腕の中で気絶するように眠りに落ちた。