CROSS LOVELESS〜冷たい結婚とあたたかいあなた
そして沢村のお義父様は、私のお父様にも向き合う。
「うちの息子が申し訳無い…だが、そちらの娘も不貞を働いたのだ。玲の取った解決策がベスト、五分五分の落し所と思うが、いかがかな?」
「こちらも監督不行き届きで、申し訳ございませんでした」
お父様はぶるぶると握りこぶしを震わせるけれども…次期首相の呼び声高い現役大臣に逆らえるはずもなく、従うしかないだろう。
「それでは、これにて手打ち。互いに恨みつらみなく、水に流して仲良くしましょう。せっかく生まれ来る孫と会えない…などと悲しいことになりたくありませんからな」
そう言った沢村のお義父様は破顔し、私に断ってからそっとお腹に触れられた。
「沢村の未来を担う孫だ。ありがとう、薫さん……君が嫁に来てくれてよかった。果報者だな、玲。おかげでスミソン氏をパイプに外交もうまく行っているのだからな」
「はい、私の自慢の妻ですから」
ギュッと私を抱きしめた玲さんが本当に誇らしげで…。私は、今までにない幸せを感じた。
最初は冷たい愛がない政略結婚だったけれども…今は、あなたがいる。
誰よりも、愛にあふれたあたたかいあなたが。
(終)


