年下男子は恋愛対象になりますか?
「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。どうぞ」

カーテンを押さえてくれて中に入るよう促されたので、軽く頭を下げてから席に着く。正面に座っている美樹からの視線が痛い。

オーダー取りに来た時と同じように、男性店員はにこやかな顔をしながら出て行った。

「ぶつからなくて良かったじゃん。そうそう、次は大好きな隼人君に来てもらうようお願いしといたから」

美樹が発したのは、またしても思いがけない言葉だった。初めて来た時も隼人君に話しかけたみたいだし、美樹のコミュ力も佑介と同じぐらい凄い。

「さっき少しだけ会ったよ」

「えー、大好きな隼人君に会ったの?驚いた顔を見たかったのに残念」

なかなか会えないから呼んでくれたのかと思ったけど、これは単に面白がってるだけかも。

「……お願いだから、隼人君の前で大好きなって付けるのはやめてよ?」

「分かってるって」

とりあえず乾杯をして飲みながら話していると、テーブルの上に置いてあった美樹のスマホが振動した。長さからしてきっと電話。

「出ないの?」

「佑介だから後でかけ直す。電話してる間に由夏の大好きな隼人君が来たら嫌だし」

「出た方がいいんじゃない?私と会ってる時に佑介からかかってくるなんて珍しいよね?」



「失礼します。お料理をお持ちしました」

カーテン越しに聞こえたその声に反応して、美樹が電話を切ったようだった。
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